2013年9月12日木曜日

イニシャル・フィティング


イニシャル・フィティングとは新しいクラブセットを
自分に合うように調整する最初の作業をいいます。

新品のクラブは完成品ですが未調整です。
洋服も合わないサイズを着る人はあまりいませんが
クラブは全く合っていない物をそのまま使っている人がほとんどです。

確認項目

1  シャフトの長さ

シャフトの純正品はほとんど調整が必要です。
たとばDRの標準の長さは50年前には42インチだったのが
30年前には43,5インチになり、現在では45インチが標準だ
というのがメーカー側の主張です。

スイングは打ちやすい前傾角度で打つのが理想で、その角度は
30度~45度前後です。
PWで45度前後、DRで30~35度程度です。
この角度で前傾姿勢を取り、両腕をだらりと垂らしてグリップした形で
スイングすることでDRは最大のパワーが出せて、PWでは
より正確に方向を出すことができるとされています。

長過ぎるクラブは前傾姿勢が立ちすぎて20度くらいで打つ場合で、
肩の回転は水平に近く、手の軌道は垂直に近い動きとなって
落下力などの勢いは使えても、体が作る回転力はクラブには伝わり難くなります。

また、長いクラブほど難易度が高く、アマチュアがプロよりも難しいクラブを使うことは
あまり意味のないことです。

現在、プロの使用しているDRの平均の長さは、アマチュアの平均より1インチ短いといいます。
ルークドナルドのDRは43.75インチなのですが、
タイガーウッズはデビュー当初は43、5インチでメジャー大会に優勝しています。

体の回転力だけで打つとした場合は、腕とシャフトが真っ直ぐになった状態で打つと
力をそのまま伝えることができます。
野球のバッティングは10~20度くらいの前傾ですので、
球がお腹くらいの高さだと背骨の軸に直角になるプレインで打つことができ
ボディーターンのパワーが無駄なく球に伝えることができます。

しかし、ゴルフは球が地面の高さですので、相当前傾姿勢をとらないと
背骨に直角のプレインを作ることができません。
普通のショットでもそこに多少の誤差があるのに、シャフトを長くすることで
前傾姿勢がどんどん立ってしまい、体は横回転、手は縦回転でかなりの
力のロスが生じることになります。

クラシカルな時代に計算された物理的な理論では42インチが平均です。
スポーツ科学的、運動生理学的、人体構造学的に見ても
DRで30~35度で打てる前傾角度が現代でも理想ですので
42~43インチ程度に調整されることをお勧めします。また、
世界のトップ選手達のほとんどがこの前傾角度で打っています。


2  シャフトの堅さ

純正のシャフトは柔らか過ぎてとても使い物になりません。
堅さは振動数で表します。
ヘッドを着けてグリップを固定し、ヘッドを弾くと振動します。
これが1分間に何回上下するかの数字で比較します。

DRは理想としては290前後で、これは XX ~ XXX 程度の堅さとなりますが
純正はほとんどが240以下でグニャグニャです。

柔らかさの表示はフレックスという言葉でL,R,SR,S,SX、X などと
レギュラー、スティッフ、エクストラ・スティッフなどの英語の頭文字を使い
振動数を分類してつけられているのですが
これには標準がなく、メーカーや機種、時代によってバラバラです。

特に最近はS表示でも実際には過去の同社のRとほぼ同じ振動数だった
ということも良くあることですので、ローマ字表示のフレックスはあてになりません。

堅いシャフトは球が上がらないとして柔らかい物を薦めるのですが
HSが速い人は固いシャフトしか使えませんが、HSが遅い人は
実はどんなシャフトでも使えるのです。

ということは柔らかいシャフトは必要がなくなってしまうのですが
何度も同じ人に買い換えさせる販促テクニックとしてはとても有効的で
それが30社もクラブメーカーが生存していられる大きな理由の一つです。

アイアンのセットには鉄のシャフトが入り、ダイナミック・ゴールド(DG)などの
堅いシャフトの入った純正と呼ばれるクラブを入手できるのですが
その振動数に見合ったウッドのセットは現在は入手できません。

DGのアイアンセットは振動数が300を超えるのですが
ウッドセットの振動数はSを指定しても240~260程度で
HSの速い人は最初からシャフトを交換する必要があります。

機種によっては特注で X までは純正として注文できるのですが
実際にはその X の振動数を調べる必要があります。

シャフトの堅さはPWからDRまで一直線になるセットが必要です。
X シャフトの先摘め(チップカット)を2インチ程度してもらうと
恐らく XX から XXX 程度の堅さになりますので
最初からこの堅さで練習していれば、HSが50程度になっても
十分に使用でき、途中で3回も4回も買い換える必要がなくなります。



3  ロフト角

新品のアイアンセットを購入する際は、ロフト角を良く見て選んでください。
セットによっては2度間隔だったり、5度間隔だったり、いろいろです。
アイアンの短い方は4度間隔で、上の方が3度というのが標準なのですが
最近は番手の番号付けに異常な現象が起きていますので
番号で選ぶのではなく、ロフト角同士で比較する必要があります。

たとえば7番アイアンは37~39度に付けた番号だったのですが
最近は27度でも7番の番手が付いています。
4番アイアンに7番という番号を付ければ飛距離が出るのは当然です。
これも販促のテクニックで試打すると跳ぶので良く売れるのです。

この数年は番手ずらしが激しく、ウエッジあたりの距離を打つクラブがなくなり
ウエッジだけでも4種類ほどになってしまいました。

52度を昔はPWと呼んでいただけで、なんら変わったことはなく
番号付けがずれており、そのずれ方が機種やメーカーによってバラバラですので
購入の際はロフト角で調べる必要があります。

また、中古のクラブを購入の際には、良くロフト角を調べてから購入し
フォージト(鋳造)品であれば2~3度ほどまでは曲げることができますので
工房で相談してからが良いかと思います。

中古品で注意することは、ロフト角を曲げて変えてある場合もあります。
また、シャフトの長さも違っている場合もありますので
信頼できる工房に一度持ち込んで調べてもらうと良いと思います。


同じロフト角でもアイアンの24度とUTのロフト角では飛距離が違うといいます。
ヘッドの構造ともシャフトの長さとも言われていますが
アイアンの24度とUTの24度の両方をセットに入れる場合もあります。

また、UTとウッドの境目も同じような現象が起きており
同じ21度でも飛距離が違う場合があるようです。

最初のフィティングは計算によって合わせてもらうことですが
クラブに慣れてきてからその辺の細かい調整をされると良いと思います。


4  ライ角

ライ角とはシャフトと地面との自分側の角度をいいます。
クラブはもともとライ角を付けて作られているのですが
実際に構えた時にできる実際のライ角とは誤差が生じます。

これは実際に打った時にソールが地面に対して水平に当たるか、
トウ側が深く、ヒール側が薄いとか、またその逆になっていないかどうか
これがライ角調整です。

実際に使用してターフを見て、トウ側とヒール側が均等の厚さになっているかどうか
を調べてから調整することが大切です。
これはショップなどで機械で調べることもできます。

同じ背の高さ、手の長さ、同じシャフトの長さで同じライ角のクラブでも
打ち方によって実際のライ角は違ってきます。
構えた時のライ角に戻して打つ人と、フルアンコックをして左手首を完全に伸ばし
アーム・シャフト角を完全に伸ばした打ち方の人では実際のライ角はが違います。
また、その間で打っている人も微妙に誤差が生じます。

イニシャル・フィティングでは打ち方が決まって定着し、安定した人以外は
スイングが安定するまで待った方が良いと思います。


5  グリップ

グリップの選び方は2種類です。
太さと重さです。
それ以外は好みで選びます。

太さとは手の大きさによって決めます。
手が大きいのに細いグリップですとバネ指や腱鞘炎になり易くなります。

また消耗が進むにつれて余計に力を入れないとなりませんので
これもバネ指になったりすることがあります。

もうひとつは重さですが、これはフィティングでウエイトバランスを調整する際に
交換する場合があります。


6 ウエイト・バランス


ウエイトバランスとは振った時の感じる重さです。
総重量は同じでも、ヘッド側が重いほど振った時に重く感じます、。
クラブを反対に持って振ってみてください。
そう重量は同じでも、ヘッドを持って振ると相当軽く感じます。
これがウエイト・バランスです。

シャフトを切って短くした場合、長いシャフト用に作られたヘッドは重量が軽く、
そのままだとウエイト・バランスはかなり軽くなります。

シャフトに鉛を積めてもらったり、ヘッドに鉛を貼ったりして
ヘッド側を重くして調整するのですが、
同時にグリップを軽くしてバランスを取る方法があり
これだと総重量を上げることなくバランスが取れるので
怪我しやすい人にはこれがお勧めです。

バランスは男子の場合は純正だとD0~D2で統一するのが普通ですが
年齢によってシニアの場合にはC6~C8程度で十分です。
また、ジュニアや女子などは最初はB8~C4程度にし、総重量もあまり重くない物
を選ぶと怪我をする確率が減ります。

ただ、女子プロは男子用でも軽いクラブを使用しており
筋肉量によって選ぶ必要があります。






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