2019年6月21日金曜日

トッププロが突然勝てなくなるのはなぜ?


Question

トム・ワトソンとか森田理香子とかイ・ボミとか、いままで凄く勝ってた選手が
突然勝てなくなるのは、なぜですか?


Answer

宮里藍選手や石川遼選手もほぼ同じ原因で成績が落ちて、藍選手はとうとう5年
間苦しんでゴルフ自体を辞めてしまいました。

欧米でも同じように、全英オープンにまで優勝した選手がゴルフを辞め、有名に
なった事がありました。

ゴルフ界では良くある事ですので、ほとんどの人はそれを不思議だとは思わずに
解明できないものとして取り扱っています。

しかし、彼らは全てショットがおかしくなったという共通点があります。
芯を外して距離が合わなかったり、方向が乱れてまともに飛ばないなど、症状は
様々ですが、その原因はスイングが崩れた事にあります。

これは登山でいう滑落です。
ゴルフは切り立った尾根を歩いているようなもので、僅か30cmくらいしかな
い狭い場所を行くために、どちらに転んでも2000mほど滑落してしまうとい
うとても危険な道のりなのです。

登山にはガイドが必要で、体をロープで結んで一緒に尾根を歩きます。
そして右に滑って連絡しそうになると、ガイドは左に飛び降りて、ともに転落す
るのを防ぎます。
これがゴルフではコーチの役目なのです。

アマチュアはそこまで高い位置にいませんので、崩れてもさほどのダメージはあ
りませんが、トッププロが滑落するとシードを失い、試合にすら出られなくなり、
生活が成り立たなくなって周りの人からの非難や心無い言葉など、ストレスを抱
えながら燃え尽きてしまうのです。

さて、その滑落の原因ですが、イ・ボミのように試合中に突然スイングがおかし
くなったケースがあります。
その映像を放送していていた事がありました。
突然今までと違うスイングをしたのでハッとしたらそれが崩れたきっかけになっ
たショットだったのです。

人間はプログラムされたパソコンとは違い、今まで長年やって来た事でも、突然
忘れたり、勘違いしたり、乱れる事があるのです。

これはどのレベルでも同じなのですが、そのまま崩れずに修正できる人はどこが
違うかを追究する必要があります。
恐らく長いゴルフ人生で崩れた事がない人は誰一人としていないはずです。

しかし、試行錯誤している間にまた思い出したり、また違うスイングで帳尻が合
って当たり出したり、あるいは改造して良くなったと思っている場合があります。

その偶然にまた当たり出すと言う現象がなく、崩れたまま辞めて行くゴルファー
は毎年400万人もいると言う話を聞いた事があります。

闇雲に毎日500球打てば上手くなると言う人がいるのですが、それは正しい
スイングをしている時だけです。
ほとんどの人は日替わりスイングをしたり、酷い人は毎回違う動きで打っており
何一つ定着せずに空回りするのです。

プロは器用で勘が良く、幼少期から飲み込みが早く、さほど崩れずに再現性が高
まり、環境や運が良いと上位に行く事があります。
しかし、そのスイングのメカニズムも分からず、ただ経験と感覚だけで打ってい
る選手は、突然忘れても思い出せない事もあるのです。

これはアマチュアにもありますが、アマチュアは諦めて何日後かにまた練習する
と何事もなかったかのようにもとのスイングに戻っている事があります。
これは長年やってきたスイングフォームは記憶に深く、突然違うスイングをして
も、それはまだ定着していないために翌日には忘れて元のスイングに戻るのです。

しかし、プロはその日のうちに修正して調整しなければならず、そこで試行錯誤
すると余計な動きや間違った動きの練習をして、いわゆる下手を固めてしまい、
修正する必要のないヶ所までいじってしまい、フォームを根本から崩してしまう
事があるのです。

そこでコーチに診てもらって、その日のうちに修正すれば翌日にはまたいつもの
ショットが出るのですが、コーチを雇っていないプロは自分で治せない事があり、
そのまま転落です。

日本の選手達は恐らく半数以上はコーチをつけません。
石川選手は15才でプロを相手に優勝し、その数年後には渡米して、欧米選手の
とんでもないショットを見て魅了され、改造を初めて止まらなくなって転落です。
いわゆるいじり過ぎです。

スイングは定着するのに3年は掛かります。
毎日違う事をしていたら何時まで経っても固まらずにスコアは良くなりません。
ゴルフは再現性ですのでフォームが定着するまでは思ったスコアは出ないのです。

松山選手はほとんど改造せずに筋肉をつけて飛距離を伸ばしていましたので、こ
のようないわゆるPGA病にはならずに5勝まで行きました。
ただ、その後の優勝がなく低迷しているのですが、転落とまでは行かずに何とか
今のポジションをキープし、元のスイングの良さに偶然戻るのを待っています。

このように、調整だと思っていじる事が実は改造になっている事があり、それが
定着しないうちはもとのスコアが出ないのです。

コーチが新しい動きを組み込む際に、根本を崩さないように指導しながら改造を
するのですが、自分ひとりでできるような単純なものではありません。

毎回違った動きをしないように組み込んだ新しい動きが正確にできているかどう
かを毎回でも確認しながら、少しでも早く定着するように二人三脚で改造します。

それをいとも簡単に、一緒に回った選手の良いところを取り入れてとかのレベル
で改造してしまうと、総崩れしてもう這い上がって来れなくなる事があるのです。

アマチュアはレベルの低いところでの転落なので、あまりスコアには現れない事
があるのですが、30年も歴があって未だに改造だとかいじりまくっている人が
大勢いる事に驚かされます。

全ての打法や部分的な動きをそれぞれに3年ずつ定着させて比較するにはそれこ
そ300年ほど必要です。
この試行錯誤は致命傷となる事がほとんどで、それがゆえにスコアが良くならな
いと言うアマチュアが大勢います。

毎日練習さえしていれば上手くなると勘違いしている人がほとんどですが、この
ように毎日自分のスイングを崩し、定着させない練習をしている人がいかに多い
か、これでお分かりだと思います。





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