2013年10月16日水曜日
ショット練習の段階
私がアメリカで、最初の壁である80切りを乗り越えるためにしたことは
現地のPGAツアープロの門を叩いたことでした。
そのレッスンの最初の1週間目はクラブすら持たせてもらえず
2週間目は球すら打たせてもらえませんでした。
しかし、その2週間、毎日習ったことがどれだけ大切なことだったか、
スイングのほとんどを占める重要な基本動作と基礎練習だったことが数年後に分かりました。
また、あまりにも腕の差が有り過ぎて、先生の技術の高さを
当時はほとんど分かっていませんでした。
そして、3週間目も先生の前以外では一切球を打たせてもらえず
初期は毎日20球しか打たせてもらえませんでした。
デイビス・ラブ選手は、練習の75%は基礎練習だといいます。
基礎練習とは正しいフォームで振るためのドリルや精度を上げる練習です。
武道でいえば型です。
ゴルフは相手もいませんし、球も止まっていますので
ショットは型がほとんど全てです。
基本動作練習はテイクバック、ダウンスイング、インパクト、フォロー、フィニッシュと分解し、
それぞれの型を習得して合わせる作業でした。
何も考えずにただ振っていて、まともなスタイルで打てる分けがありません。
ほとんどのゴルファーはプロのスイングを見て
自分も同じ格好で振っているのだと勘違いしがちです。
まさに私も当時はその状態でした。
どこを切り取っても綺麗な形になっているか、
そして、効率の良い無駄のない動きになっているかどうか・・
力が全て球に伝わっているか、軌道や軸がブレていないかどうか・・
各位置でちゃんと力が入っているか、回転具合や角度が合っているかどうか
それらを確認しながら基本動作を習得していきます。
また、基本動作を取得する時期には動きを突然忘れたり、勘違いしたり
知らないうちに崩れたりすることがあります。
これらも早期に修正することが悪い癖をつけない秘訣です。
アバウトになりがちなスイングを細かく分解して、部分部分を正確にする作業が
基礎練習の根本であり、最短の習得方法であり、また着実にそして
最も効率の良い練習方法だということを教わりました。
ショットの練習には段階があります。
まずゴルフを始める前に、グリップ、構え、姿勢などのセットアップを覚えます。
1 基本動作
基本動作とはその打法の基本となる手、腕、足、肩、腰、などの動きを
それぞれの位置でどこにあるかを型で覚えます。
軌道を覚え、それぞれの動き方を覚え、その動きが安定すれば
その軌道上に球を置くだけで最初から真芯で打つことができます。
チップショット、ピッチショット、コントロールショット、パンチショット、ロブショット
バンカーショットなどもそれぞれのフォームを習得します。
2 調整練習
芯に当たるようになったら、今度は球の方向や飛距離の出し方を覚えます。
手の正確な位置やタイミングによって癖球を修正しながら
アイアンの各番手ごとに正確な飛距離が出るように調整練習をします。
また、フック、スライス、フェイド、ドロー、ハイ、ローなどの
球質原因を見分け、対策法の知識なども習得します。
3 精度を上げる練習
理想的なフォームが出来上がり、球質の調整ができたら次は
より正確に打つ練習です。
ミート率を上げることがまず第一ですが、方向や高さなども
ピンポイントで落とせるような練習を行います。
軸のブレや軌道のズレなどをmm単位で精度を上げ、誤差を
できるだけ少なくするために正しい動きでの反復練習をします。
また、同じ速度や同じ力で毎回振れるように、フルショットは全力の8割で
コントロールショットは6割で振るようにします。
4 定着練習
フォームを固め、飛距離や方向を固め、何度打っても同じ場所に打つことができるように
数千回、数万回でも反復練習をして条件反射になるまで体に染み込ませます。
定着は同じ動作を毎日60回21日(3週間)することでほぼ定着するのですが
100ポイントある動きを2つずつ定着させると約3年掛かります。
これは一切遠回りしなかった最短の期間ですが、この100の中で
できていないポイント数が対象となりますので
上級者でほとんどできていて、新しいポイントが10ヶ所であれば
3週間 X (10÷2)=15週間となります。
ただ、悪い癖を抜くのにも時間が掛かります。新しい動きはこの期間で覚えますが
悪い癖はニューロンが消滅するまで出てくる可能性がありますので
別名保存でインプットしても、どちらが出てくるか分からない状態が数年続きます。
打つまえのルティーンで正しい動きを必ず思い浮かべ、悪い癖を一度も出さない
という練習も大変重要です。
消えるまでにはやはり個人差がありますが、数年掛かることもあります。
5 実践練習
ゴルフ場で実際に芝の上から練習場とまったく同じように打つ練習です。傾斜から打ったり
また、風による調整や砂質の違うバンカー、長さや硬さの違う芝から打つ練習も必要です。
コース攻略も含め、ショットや番手の選択を覚え、状況に応じたショットが
できるようにする練習もします。
特にエイミングとアライメントは現場では狂いがちですので
念入りに体でどこを向いているかなどに慣れる必要があります。また、
雨や明るさ、逆光、高低さなどの環境の違いにも慣れる必要があります。
6 安定練習
コンペや大会で緊張の中でいままでの技が全て間違いなく出せるように
特にメンタル面を鍛えます。
淡々とプレーすることで集中力を維持することも大切で
メンタルコントロールを覚えて精神状態を安定させて大叩きをしないようにします。
また、ラウンド前の準備、調子を整える工夫、落ち着いた気持ちや
ストレスを減らす環境作りなども安定させるためには必要です。
体調管理、健康管理も含め、常に安定したスコアが出せるように
いかなる状況下でもリカバリーができるだけの引き出しをさらに増やします。
これらの段階練習の中で、球を実際に打つ練習では芯を外さない
という練習が大変重要です。
いきなりDRを振り回して、空振りしたりダフりトップでは
そのマイナスイメージばかりインプットされて、それがイプスや
自信喪失につながります。
練習段階から成功体験、真芯を捉えて正しい動きで打つ成功体験の積み重ねによって
メンタル的なプラスの引き出しを増やすと、ルティーンにおけるイメージが
より容易く出せるような状態になりますので、普段から、そして初歩の段階から
マイナスイメージを極力なくす練習方法が大切です。
これらの段階による練習を時期に応じて選択して行います。
あるいは同時に2つ3つを平行して行い、スコアはこれらの練習の結果として
自然に良くなっていきます。
ゴルファーの多くはスコアメイクに執着し、コースの攻略法や道具選びなど
重要なポイントを見失っている場合があります。
まずは技を習得することです。それには、自身が持っている技術以上の
攻略法を使うことで、より高いレベルの技術を練習することも大切です。
一つ一つの技が定着して安定したところで、初めてスコアの意味が出てきます。
スコアメイクに没頭して、腕を磨こうとせず、フォームを定着させず
やみくもにラウンドしていたのではスコアは良くはなりません。
それよりも、100を切れなかった人が3年後に70台で回れれば
極端な話、1年目も2年目も100が切れなくて良いのです。
もちろん、同時にショートゲームやパティングの練習もしていきますので
徐々にスコアは良くはなるのですが、技が身に着くまでは
偶然良いスコアは出ても、安定して良いスコアはでません。
どんな技も定着しない限り結果はでません。
全ての技を自然に出せるようになり、ミスが少なくなった時点で
初めてスコアメイクすれば良いことだということです。
それまではラウンドも練習だと思ってプレーします。
練習場での成果の確認や芝慣れ、課題を探したり、寄せやパティングの練習があり
スコアメイクするまでにやることが山積みになっています。
ショットを完成するのと同時に、それらの課題も平行して磨いていきます。
ラウンドの機会が少なく、練習場でしか練習できない場合でも、3年後には
パーオン・ツーパトの72で回ることも決して不可能ではありません。
なんとか良いスコアを出そうと、一生懸命ゴルフ場に通っても
ショットが安定している人ならば良いのですが、
フルショットの基本動作ができていないゴルファーにとってはいくらラウンドをしても、
20年も経てばショットは安定しますが綺麗なスイングはできません。
ゴルフを始めて3~4年後にはパーで回れる可能性が十分にあります。
もし、そうでなければ練習内容のどこかが間違っているのではないでしょうか。
ラベル:
ゴルフ上達の秘訣
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