2017年2月15日水曜日

ゴルフには教科書がない?!


Question

ゴルフには教科書がない、と先日のタイガーを教えたコーチが
TV番組で言っていたのですが、やはり自分で思考錯誤して
感覚で習得するしかないということでしょうか?


Answer

教科書はあります。
それが基礎として残っている、先人の残した大切なノウハウです。

我流でプロになった昔の人達は、自分なりに技術をつかんで成長できた
人だけがなんとか教える立場として現在残っているので、
それを売りにしているコーチも大勢います。

クラブ2本でラウンドするとか、感覚だけで球をカップに入れるという
勘や感性を磨く練習法が先日放映されました。

これは技術を習得した後には大変有効的な方法ですが
まだ、どうやって動いたら良いか分からない人には、
なかなか結果に結びつかない指導内容です。

この内容は技術もメカニズムも分かっているプロにとっては、
自由な発想と考え方によってプレッシャーを取り除くという、
最終段階に必要なのですが、
ところがそれを真似て、日本でもアメリカでもそう言って
技術を教えないコーチが大勢いるのです。

そのほとんどは技術を知らない、教えられない、自分が持っていない人で
昔のリゾートスイングで独学で上達した人や聞きかじりで教えている人です。
特にレッスンプロの資格は80で回れば合格するような簡単な物で
150を120にしたいという人なら、それでも良いでしょう。

番組のコーチはツアープロでしたのでレベルはずっと上です。
しかも、一勝していますので、内容は素晴らしい物でした。
特に日本のような、みんなと同じことをしないと落ちこぼれと言われる
自由のない国にとってはとても貴重な指導内容ではありました。


その昔はシンプルで簡単な振り方をしていました。
お遊びゴルファーや年寄り、リゾートでのプレーは簡素化したスイングで
十分だったために、さほどの技術は必要ありませんでした。

ところが、タイガーウッズ以降は飛距離が大幅に伸び、飛ばしの技術は
難易度がF,G級で、欧米のプロ選手はこの打法の技術を習得しないと
全く歯が立たないほど進化してしまっているのです。

280Yで良かった時代が、現在は300Yを超えないと通用しない
という時代に進化しているのです。
この飛距離を伸ばすのはメンタルではなく技術です。

70年代以前に活躍していたトッププロ達はまだ難易度はC程度で
その時代にコーチになったツアープロは、いまだにそのCクラスのままで
進化について行けてない人がほとんどです。

この程度の技術であれば、まだ我流でも試行錯誤しながら
なんとかプロに成れた人がいた時代だったのですが、
現在の世界のレベルは数段上で30年ほどの差が
現在はできてしまっているのです。

日曜大工で家を建てるなら、センスや感性でなんとかなりますが
神社を建てることはできません。
今の世界の打法は宮大工レベルの技術が必要になってきているのです。

前向きに、そして辞めさせない指導方法としては単発で受けても、一生その
前向きな姿勢が変わらなければ、それは宝として残りますが、
それで素晴らしいショットが打てるようになるとか、飛距離が伸びる
というのではなく、イプスにならないためとか、成績が悪かった時に
落ち込まない方法として生涯役に立つということなのです。

それももちろん大切なことなのですが、中学、高校時代は
特に技術を習得するとても大切な時期です。
野球選手がプロになれるかどうかはこの時期に
どれだけレベルアップできたかでほとんど将来が決まるのです。

この番組を見て、日本中のゴルフのレッスンプロ達が、これ幸いと
技術のなさを露見せずに済むように、メンタルだの感性だのを強調し
ますます技術が広まらない、日本をさらにダメにするのではと心配しています。


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