2019年9月11日水曜日

ジャック・ニクラウスは下手?


Question

ジャック・ニクラウスは下手だったんでしょうか?
スイングを見ると左足が右に思いっきり寄って、
野球のイチローみたいな下半身の使い方ですよね。

今のスイング理論だと足の内側のスペースは同じ形をキープして
バックスイングして打つって習いましたが、どうなんでしょうか?

打ちやすければ結局いいんでしょうか?


Answer

テイクバックで左の膝が内側に入ったり、左足のカカトを上げたりする打法は
ジャックニクラウス以前のベンホーガンの時代からのフォームです。

左のカカトを上げたり膝が前の内側に大きく出るのは腰が思い切り回って可動
域を大きくするためで、それなりの理論があります。

カカトを上げて膝を内側に出すと腰が良く回ります。
これがクラシック時代の打法です。

そして中期になるとカカトは上げるのですが膝は内側ではなく前に出すように
なりました。
これによって腰の回転がある程度制御されたのです。

そしておよそ30年ほど前にフレッドカプルスやデイビスラブなどがプロ入り
した当時、テイクバックで腰を止めて捻じり上げると言う打法が流行り出し、
それが現在の欧米の打法の主流となっているのですが、タイガー打法もこれを
組み込んでおり、カカトは上げず左膝は前に少しだけ出ると言う形になったの
です。

これがクラシック打法や中期の打法と大きく違ったフォームとして認識されて
どの打法を教えるかによって指導内容が違うだけの話です。

最近ではチャンプのようなキャリーで350Yも飛ばす選手が出現し、クラシ
ック時代のように腰の可動域を広げた動作を組み込んで話題になりました。

また、中高年など体が硬い人などは腰を止めると肩が充分に回らない事から腰
も回してクラシック時代やジャックニクラウスの脚の形で打っています。

腰を止めてテイクバックすると上半身と下半身との捻転差が大きくなり、胴回
りの筋肉を使える事や軸がブレ難い事などで主流とはなっているのですが、必
ずしもそうしなければならないと言う事ではなく、最近日本はやっとこの手法
に気がついて真似する人が出始めたのですが、どちらもメリットデメリットが
ありますのでこれは個人の選択で良い事です。

もっと大切なのはしっかりと捉まった球が打てる事や最終的には再現性ですの
で、まずは肩の回り具合が最優先で、腰を止めても肩がしっかりと回る人は腰
を止めれば良いし、それでは肩が回らない人は腰も回せば良い事なのです。

ベンホーガン、ジャックニクラウス、マキロイ(タイガー)と3人ともこの腰
の回転度が違い、現代になるにしたがって腰を回さなくなっています。
しかし、どの時代の主流を真似ようと自由ですし、それぞれの形には意味があ
りますので、その人に合った、しかもナイスショットの再現性が最高に高まる
型を選択されればそれで良い事なのです。

特に加齢にしたがってできない動きがどんどん増えてきますので、痛みが出た
ら無理にその動きをするのではなく、その代わりに他の動作によってカバーし
てください。
同じ腰痛でも、腰を止めた方が痛くないと言う人や、腰は緩めて回した方が痛
くないと言う人など様々ですので、これは個人で選択すれば良い事です。

このように動画を見て真似ると、左膝が内側に入るか前に出るかだけでその形
だけをコピーしようとするのですが、これは腰の可動域によっての結果として
これらの形になるだけで、表層的な形だけを真似るのではなく、その本質を知
った上でどの筋肉にいつどのくらいの力を入れるかなどのメカニズムを知り、
その結果として見ている形ができるようにしなければなりません。

ちなみに石川選手は以前はタイガー打法の形だけを真似ていたのですが、最近
はその本質にやっと迫って、同じような動きができるようになっており、しっ
かりと全身の筋肉をタイミング良く使って飛距離がかなり伸びて安定してきま
した。

このように、見た目だけで真似ている人は習わないと彼のように洞察力のある
プロでも10年以上掛ってしまいました。
それでも、日本人選手の中ではタイガー打法に一番近い選手ですので、他の選
手達はその領域にすら行っていないか、もうその気がないか、あるいはその違
いすらどうでも良いという人なのかも知れません。

今、ミクシーのバーチャルゴルフ教室ではなぜゴルファーは遠回りするのかと
言う原因を特集しているのですが、この見た目だけを真似ても同じ事はできな
いと言うからくりも遠回りの原因の一つです。

オヤジスイングも下手だからできていない場合がほとんどですが、可動域が狭
く痛みが出るのでやらないという動作もありますので、見た目だけで判断しな
いようにしたいものです。




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