2014年1月9日木曜日
基本動作と修正技術
マキロイが初めてメジャーに優勝する1ヶ月前のメジャー大会で
3日目まではトップを独走していたにも関わらず
最終日に80を叩いて優勝を逃していました。
60台で回れる人が80とは、アマチュアで90台で回る人にしてみると
120~140くらいで回るのと同じくらい信じられないことです。
自分は天才かと思う日があるかと思うと、辞めたくなるほど落ち込む
ことがあるのがゴルフです。
悪い時も、良い時もゴルフです。
では、なぜそのアップダウンがあるのでしょうか。
ゴルフはとても簡単に見えるスポーツです。
それを証明するのが先日のKYOKUGENという番組でした。
サッカーはメッシーが40m先の1m四方の箱の中にキックで入れ、
アーチェリーは30m先の鉛筆削りの中に命中させるというものでした。
しかし、ゴルフは池田勇太選手が35m先のカップに
ホールインワンさせなければならないという設定でした。
ショッピングセンターの二階から一階のテーブルの上に置いた
ゴルフのカップよりも小さいコップに直接入れろというのです。
高低差もゴルフでは有り得ないほどの打ち下ろし、
そして、ゴムマットはウエッジでは芯まで届かないような硬い物
しかも、3分以内に入れろというのでした。
時間に制限まで付けたので結局3~4発しか打てませんでした。
これが世の中が見ているゴルフの難易度です。
いとも簡単にホールインワンが出るものと思っているようです。
アマチュアのそれはほとんどがまぐれ、そして
プロでも2700分の1とかのとんでもない確率です。
世間がゴルフに対していかに簡単なゲームだと思い込んでいるかが
このような企画で良く分かります。
普通の条件でも奇跡的なのに、さらに厳しい条件をいくつも加え
難易度をさらに高めていることで良く分かります。
サッカーでは球の5倍もある箱に蹴って入れるのに
ゴルフは1m近い道具の先で打って、球の2倍の大きさのカップです。
サッカーの割合でいえば、カップをバケツの大きさにして
ちょうど釣り合うのではないでしょうか。
世の中はゴルフを甘く見ていることがこれで良く分かります。
そんな簡単な物ではないのがゴルフです。
1mもある棒の先に付いた金属の固りで
直径4cmほどの球を叩いて300mも跳ばすのは、それ自体がすでに極限です。
球を直接体が触れるバレーボールやバスケットとは違い
道具の先で打つという難易度が高い方法なのです。
まず芯に毎回当てることが奇跡に近いほど難しいことで
この単純作業でさえ10年の修行が必要なことを
世の中の人達は知りません。
これはバイオリンを始めて独学で1年程度で
ボストンフィルハーモニーで演奏できると思っていたり
フィギュア・スケートで4回転が始めた翌年にできると思っているのと
変わりないのかも知れません。
今日は当たっても、明日は当たらないのがゴルフです。
綱渡り同然の道のりで、いつ転落するか分からない恐ろしいものです。
ちょっと違ったスイング理論を聞いただけで迷い、当たらない時には
数ヶ所の可能性のある原因を特定できず、修正しなくて良い部分をいじり
逆にどんどん混乱して挙句の果てには下手を固めてしまうことがほとんどです。
熟練するほどスコアのアップダウンが少なくなっていきます。
マキロイのように最後の難関だったメジャーでのリードは
メンタル的な最後の試練だったようですが
アマチュアのアップダウンはほとんどが技術的な問題です。
その技術とはまず修正技術です。
軌道が狂った時にあらゆる原因を特定できて
すぐに調整できる能力です。
ただ、基本動作すらできていないゴルファーがほとんどですので
それ以前の問題だと言われるかも知れません。
構えからフィニッシュまでそれぞれの位置で
体のそれぞれの部位がどの位置にあると軌道が正しく動き
どうなるとどいういう球がでるかを良く知っている人は
ラウンド前の練習ですぐに調整ができます。
トップとフィニッシュの二ヶ所だけに意識があって
その間は自分ではどう動いているか分かっていない人がほとんどですが
そのような人達は軌道が狂った時に自分では治しようがありません。
この正しい軌道を作る正しい各部位の動きが基礎であり
基本動作として習得し、定着させるべく動きなのです。
これが独学の恐ろしいところです。
なんとなく振って当たってしまうのもゴルフです。
格好だけ適当に真似て、10発に一回くらいは芯に当たってしまい
それが正しい動きだと勘違いしてしまいます。
ところが速くて見えないインパクトの形などは見えていませんし
動画を撮っても超スローでみないと分かりません。
また、分かってもどうやってその形を作るのかも分からず
球が当たってしまえばどうでも良いとして治そうとしなくなります。
しかも、芯に当たれば良いという低いレベルで満足してしまうと
癖があっても治さず、球質や飛距離まではとても手が届かなくなります。
一つずつ基本動作を習得して定着させると
狂った時にどこが違うのかが分かるようになります。
何度も狂っては治し、崩れては治してもらっているうちに
打球を見ただけでどこをどう修正するかが自分で分かるようになります。
その修正方法が分からないゴルファーの中には、崩れても崩れたままで
大叩きしてガッカリして、ゴルフ自体を辞めてしまう人がいます。
世界ランキング一位のタイガーウッズでさえ、2010年から2013年までの期間
スイング改造中は毎日のようにスイングコーチに診てもらいながら修正を繰り返していました。
まして、そこまで練習をしていない人は崩れたまま、軌道が狂ったまま
試行錯誤しながら迷い、悩み、諦めて開き直り、練習すると下手になるから
と言ってお酒を飲み、賭けゴルフに目的を変えたりすることも事実です。
その中の僅か、良く練習する人は狂ったままながらも長年同じことをやり
オヤジスイングながらも固まり、ショートゲームの慣れでシングル級になっている人はいます。
ゴルフは崩れるのが当たり前です。
しかも何十回も何百回も崩れて当然なほど難しい動きですので
崩れないようにするのではなく、まずは基本動作や様々な技を習い
定着させる間に何度も修正をくりかえしてもらいながら修正技術をも習得し
ラウンド前に自分一人で調整し、思った打球が出せるようにすることが大切です。
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