2015年12月9日水曜日

腰の動きで正しいのはどちら?


Question

ゴルフのスイングに関して迷っていることがあります。
スイングする際に、

①インパクトまで腰の回転を我慢して体の正面でボールを捉える(壁を作るイメージです)

②自然な腰の回転を意識してインパクトの瞬間には
  すでに腰が回っている状態でボールを捉える

どちらのイメージが正しいと思いますか?
私の感覚では①の打ち方だと少しスウェーしている気がします。

文章なので分かりにくいかと思いますがよろしくお願いします。


Answer

インパクトの瞬間に腰が正面を向いているツアープロはいません。
恐らく体重移動で左の壁に腰を移動して打つという
某ティーチング・プロの打ち方のことではないでしょうか?

体重移動だけで打つ場合にはそれでも良いのですが、
もっと飛距離を出すためには右肩からの押し込みで球をつぶしたり
右足の蹴りや腰の逆回転で上半身を走らせる技術を使います。
引き落としや遠心力だけで打つのではないのです。

これらの飛距離を出すための技術を知らないレッスンプロ達は
前者の腰を開かずに打つような、おとなしい打法しか教えられませんので
現在の世界レベルの打法から見れば超初心者用の指導と言えるでしょう。

そして後者は確かに正しいのですが、ちょっと違います。
それは見た目で判断する習得法の欠点で、その形はなぜそうなったのか
が分からずに、結果としての見た目だけ真似ることに原因があるのです。

腰が開いた状態でインパクトというのは動画や分解写真を見れば
一目瞭然なのですが、では、どうして腰を開くのか、あるいは
どうすれば開けるのかなどの基本動作が理解できていません。

例えばこの腰なのですが、腰は体の捻転した状態から
それを逆に捩る(よじる)力を利用して打つためです。
言い方を変えれば肩を開くための原動力ということです。

腰の回転を尾てい骨軸で行うと、正面から見た場合には
腰が目標方向に3~4cm移動して見えます。
しかし、これは腰を横に移動したのではなく、尾てい骨を中心に
回転しただけの動きなのです。

某ティーチングプロはこの動きを見て、腰をスライドさせて
打つ打法をDVDなどで教えているのですが
これは尾てい骨まで移動しているのでスエーになります。

四角い柱の角に尾てい骨を着けたままヒップターンをしてみてください。
左の腰(前側)が3~4cm移動するのが分かると思います。
しかし、これはヒップスライドではなく、ヒップターンなのです。

そして、もう一つの動きはバンプです。
バンプとはダウンスイングを3分割した時の最初の動きで
エネルギーを貯める動作の一つです。

この動作も「間合い」だとか「一旦止める」という
見た目だけの指導が多いのですが、実はこの「間」という時間に
とても重要な動作を行っているのはあまり指導されていません。

この間合いの目的は左のお尻を後ろの打席方向に突き出すこと(バンプ)で
左脇に張りを作り、さらに圧縮して捻り縮めてエネルギーをタメており
それを一気に解き放ってダウンスイングに入るための時間なのです。

この時に手は下ろさず、一度右に上半身を捻った状態から
腰を開くとさらに体が捻れて左の脇が引っ張られます。
そして、肩も開かずに腰だけ開くという踏ん張りがあって
体はマックスに捻れた状態を作ってから
直後にダンプの動き(引き落とし)があるのです。

これらの基本動作のために腰が移動したり開いたり見えるのであって
それ自体が目的ではありません。
基本動作を習わずに、見た目だけでフォームを真似ている人は
このような基本的なことで迷ってしまうのです。

動画は動きの内容を把握するのには最適な手段ではありません。
力の入れ具合や方向、どこの筋肉をどのタイミングで収縮させて
何をしているのかも教えてはくれません。

220YのDR飛距離でプレーする分には何をやっても良いのですが
競技となったらもっと飛ばす技術を習得する必要があります。

イメージ(印象や画像化)だけで打とうとしていること自体にも問題があり
そのような見方や姿勢ではかなりの遠回りをすることになります。
スイングは物理で習って感覚で振れ・・です。
感覚で習得しようとしてもとても洞察できるような簡単な物ではありません。
ましてやイメージやフィーリングでワンポイントをもらって出来るような
簡単なものではないことがお分かりいただけたでしょうか?

習得方法によって最終到達点に雲泥の差が出ることを断言しておきます。














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